ロングフライト血栓症(エコノミークラス症候群)
飛行機など長時間同じ姿勢で座ったりしているときに注意したいのが、「ロングフライト血栓症」です。
原因の1つは、航空機内などの乾燥した空間や、低い気圧によって体内の水分が蒸散しやすくなり、血液の粘度が上昇してしまうことにあります。水分補給の不足や、アルコール摂取なども脱水傾向を招き、血液粘度上昇のリスクを高めます。
乗り物の座席などに長時間座っているために下肢が圧迫されてうっ血状態となり、血栓が生じる状態を「深部静脈血栓症(しんぶじょうみゃくけっせんしょう)」と言います。生じた血栓は、立ち上がった際などに血液の流れにのって移動し肺の細い血管で詰まることで呼吸困難や動悸をひきおこします。これを「肺塞栓症(はいそくせんしょう)」と言います。この2つを合わせて「ロングフライト血栓症(エコノミークラス症候群)」と言います。
症状
- 足や膝が腫れます。次いで、ふくらはぎや大腿に激しい痛みがきます。
- 症状の程度は軽度から心臓発作のような重症のものまで様々ですが、急性肺動脈血栓塞栓症になると胸痛、失神、呼吸困難、心拍数の増加、意識消失などがあります。
危険性
下記は飛行機でエコノミークラス症候群を起こす危険性が高くなると言われています。
- 6時間以上の長時間の飛行
- 短期間に頻回飛行機を利用した場合
- 高齢者
- 肥満気味の人
- 最近大きな手術を受けた人
- 妊婦
- 産後1ヶ月以内の人
- ホルモン補充療法中の人、経口避妊薬を飲んでいる人
- がんのある人
- 人工透析を受けている人
予防
予防方法は十分わかってはいませんが、以下の予防方法が飛行機内では提案されています。
- 水分をしっかりと補給します。アルコールをとることで利尿作用が働き、体内の脱水がより進んでしまいますので、
ほどほどに、より多くの水分を摂るようにしましょう。 - 時々通路を歩くなどして足と体を動かしましょう。着座中では下肢の循環を良好にするマッサージが有効で、血栓の予防にもなります。
- ゆったりとした服を着るようにします。
- 足の血行を促すひざ下丈のフライトソックスなどの利用も効果的です。
- 危険性が高い人はかかりつけ医にご相談ください。
命にかかわる病気ですので、症状がみられたら速やかに医療機関を受診するようにしてください。
発症後の対策
この病気の多くは到着間際の機内や、到着した空港で発症することが多いですが、時には旅行から1〜2週間してから起こることもあるので注意してください。
旅行先で発症した場合は、空港のクリニックを受診しましょう。
旅行後に足の腫れが残ったり痛みが出た場合は、整形外科ではなく血管外科や循環器を受診しましょう。その際には長時間飛行機に乗ったことがあることを伝えましょう。
ロングフライト血栓症は早期に発見できればきちんと治ります。