麻疹(はしか)ワクチン − 麻疹の発生状況や麻疹ワクチンの予防接種についてのご案内

麻疹ワクチン[Measles]

更新日 December 18, 2019

麻疹

麻疹発生状況

日本を含めて世界中にある病気です。

麻疹はインフルエンザの10倍の感染力を持ち、免疫を持たない人が麻しんウイルスに接触するとほぼ100%感染するほど感染力が非常に強いウイルスです。

近年では海外から麻しんウイルスが持ち込まれるケースが増えていますので注意が必要です。

 

東京の麻疹(はしか)流行状況

東京都を始めとして関東地方では麻疹患者報告が増加しています。
東京都港区内在住の方(乳幼児を含む)や公共交通機関を利用して区内事業所に勤める方などからも、麻しんが出ています。

東京の麻疹(はしか)流行は2011年以来の流行です。

麻疹の感染原因

麻しんは感染性が非常に高く、インフルエンザよりもうつりやすく、重症化することもある注意すべき疾患

麻しん(はしか)は、麻しんウイルスによって起こります。

麻しんを発症している人と同じ部屋にいるだけでうつる(空気感染)ことがあります。
麻しんを発症している人が部屋を出た後、2時間は感染する可能性があり、感染力が非常に強いです。

麻しん(はしか)ウイルスに感染したヒトに直接さわったり(接触感染)、そのヒトのくしゃみや咳(飛沫感染)などからもうつります。

有効な治療薬はありませんが、麻しんワクチンで予防できます。

麻しん(はしか)の主な症状

  • 潜伏期間は約10日
  • 発熱、咳
  • 口内に白い斑点ができる
  • 3〜4日間は38℃前後の熱で、一度おさまりかけたと思うとまた39〜40℃の高熱と発疹が出る
  • 合併症状として気管支炎、肺炎、中耳炎や脳炎があります。

大人のはしか(麻しん)

成人が麻疹に感染すると子供より重症化しやすいと言われています。

子供のはしか(麻しん)

かかりやすいのは1歳前後です。

2018年には、全世界で麻疹により14万人以上が死亡しました。安全で効果的なワクチンが入手できるにもかかわらず、ほとんどが5歳未満の子供です。

麻疹を予防するには

麻しんワクチンの予防接種をお勧めします。

麻疹ワクチン接種をお勧めする方

日本では、定期予防接種に指定されています。

日本全国に海外渡航後の麻しん患者の発生が見られています。
日本でも毎年発病の報告がされています(東京都感染症発生動向調査より)ので、生後12〜24月のうち出来るだけ早く接種しましょう。

はしか予防接種は麻しん対象年齢のうちに接種をしましょう。
成人になってからもはしか予防接種は任意で受けられます。接種歴が不明であれば、4週間以上の間隔を空けて、2回接種をお勧めします。

麻しん(はしか)ワクチンを接種したか記憶・記録がない方は、ご相談ください。

これから海外へ渡航(旅行)される方は、麻しんの抗体があることを確認してから渡航をするようにしてください。
麻しんワクチン接種を受けていない人は、海外旅行の際にかかる可能性が高いため、予防接種が効果的です。

※妊婦は麻疹ワクチン、風疹ワクチン、麻疹・風疹混合ワクチン(MR)は避ける。
※また、このワクチンの接種後は少なくとも2か月以内の妊娠を避けるように気をつける。

※周囲に感染者が出た場合:3日以内に予防接種を受けると感染を防御、症状を軽くできるとされています。

当クリニック取り扱い麻疹ワクチン

輸入ワクチンのMMRも取り扱っております。

当院では、欧米各国で広く承認されているMMRワクチン”Priorix”を輸入しております。未承認ワクチンについてはこちらをご覧ください。

ワクチンの種類 麻疹 麻疹&風疹混合 麻疹&おたふく&風疹混合 (MMR)
  麻疹ワクチン MR 乾燥弱毒性麻しん風しん混合ワクチン Priorix GlaxoSmithKline社
商品名 乾燥弱毒性麻疹ワクチン MR 乾燥弱毒性麻しん風しん混合ワクチン Priorix
生産 国産 生ワクチン 国産 生ワクチン 輸入 生ワクチン
販売元 武田薬品工業株式会社 武田薬品工業株式会社 GlaxoSmithKline社
接種回数 1回または2回(0、4週間〜) 1回または2回(0、4週間〜) 1回または2回(0、4週間〜)
抗体価持続期間 20〜30年 20〜30年 20〜30年
抗体価がつく目安 接種後2週間後
接種後2週間後 接種後2-4週間後
軽度の副反応* 接種部位の局所反応(発赤、腫脹、硬結、疼痛等)、接種後の発疹や発熱など
重篤な副反応* アレルギー反応など(アナフィラキシー症状等)頻度;極めて稀
接種禁忌者* 急性疾患、免疫抑制疾患・治療者、妊婦、アナフィラキシー症状があった人、卵白・ネオマイシンアレルギー ネオマイシン・卵のアレルギー、妊婦、免疫機能の低下している人 ネオマイシン・卵のアレルギー、、妊婦、急性疾患、発熱、薬の成分でアナフィラキシーがあった人

*)掲載内容は全てではありません。

MMR:麻疹(measles)、流行性耳下腺炎(おたふく風邪、mumps)、風疹(rubella)の混合3価の生ワクチン

日本では

1988年(昭和63年)からMMRワクチンの接種を実施していましたが、大阪大学微生物病研究所のムンプスワクチンによる無菌性髄膜炎が高発生率と問題となり、1993年(平成5年)で接種を中止しています。

2006年(平成18年)4月からムンプスワクチンを除いた、麻疹・風疹混合(MR)ワクチンの予防接種が開始されています。

世界では

グラクソ・スミスクラインのMMRワクチン(商品名 Priorix)が世界的に幅広く流通しています。

日本でMMRワクチンを接種するには薬監証明を取ったトラベルクリニックで予防接種が可能です。当院のトラベルクリニックではMMRワクチンを常備在庫しております。東京のトラベルクリニックでMMRワクチンの予防接種をお探しなら、お気軽にお問い合わせください。

麻しん(はしか)ワクチンの副作用

はしか予防接種後、10-20%に発疹が見られますが、通常1〜3日で回復します。

接種直後から、注射部位の発赤、腫れ、蕁麻疹などの症状がみられることがありますが、稀です。症状が3日以上続く場合は、ご連絡ください。

風疹ワクチンに対する副反応はほとんどありません。

おたふく風邪ワクチン

おたふく風邪は、ウイルスによって引き起こされる伝染病です。

主な初期症状は発熱、頭痛、筋肉痛、疲労、食欲不振から始まり、両耳の下が痛くなり、腫れてきます。

詳しくはムンプス(おたふく風邪)ワクチンページを参照ください。

風疹ワクチン

風疹は、感染力の強い風しんウイルスによって引き起こされるウイルス性発しん性感染症です。

特に風しんに免疫のない女性が妊娠初期に風疹に罹患すると、胎児への影響が深刻です。

詳しくは風疹ワクチンページを参照ください。

麻疹ワクチンのよくある質問

麻しんワクチンの有効性(効果)は?
麻しんのワクチンを1回接種すると100人のうち約95人の方は免疫が付きます。周囲で麻しんの流行が発生すると免疫のつかない約5人の方は感染する可能性があることになります。そのため、確実に免疫をつけるために、2006年6月から麻しん・風しんの混合ワクチン(MRワクチン)を2回接種するようになりました。
注射をしてからおよそ2週間で予防としての抗体価が得られます。
麻しんに感染している方と接触して発症を予防したい場合は、接触後72時間以内に麻しんワクチンの予防接種を受けることで発症を防御できる可能性がありますが、100%ではないので、事前に予防接種を受けておくことが重要です。
抗体があっても、また接種して大丈夫ですか?
はい。大丈夫です。
留学に際し、風疹ワクチン、麻疹ワクチン、おたふくかぜワクチンの接種記録を提出する必要があります。母子手帳を見ると幼少期に接種した記録が残っていますが、この日付を書いてもらえますか?
母子手帳の転記は可能です。留学に際して予防接種記録を提出する場合、留学先の学校から要求している回数などは様々です。学校から届いた書類をよくお読みください。わからない場合はこちらの手順に従ってクリニックに書類をお送りください。接種に必要なワクチンとその回数、接種スケジュールや費用などをご連絡させていただきます。
麻疹は抗体検査できますか?
はい。麻疹の抗体価を調べることはできます。採血検査を行い2、3日後に結果を聞きにご来院いただきます。検査結果はメールでも報告いたします。抗体検査の結果が陰性だった場合は、結果を聞きにご来院いただいた際に麻疹ワクチンの予防接種もお受けいただけます。
麻疹は他のワクチンと同時接種可能ですか?
可能です。麻疹は生ワクチンといわれる種類のワクチンですが、生ワクチン・不活化ワクチンどちらも同時接種可能です。但し、生ワクチンを接種すると基本的に1か月間は他のワクチンを接種できませんので、接種するワクチンの順番に気をつける必要があります。当クリニックで接種される方は、初回来院時にワクチン接種のスケジュールを立ててから接種開始しますのでご安心ください。 詳しい問診により、医師が必要と認めた場合には、同時接種ができます。
妊娠を考えていますが、麻疹ワクチンの接種歴がわかりません。どうしたらいいですか?
幼少期の接種履歴が不明な場合は、血液検査で抗体化を簡単に測定できます。
もし、抗体価がないまたは十分な抗体値ではない場合は、麻疹ワクチンの接種が必要です。
尚、生ワクチンの接種後 2か月間は避妊する必要があります。
麻しん(はしか)ワクチンは何歳から接種できますか?
日本では、満1歳に定期接種としてMRワクチン(麻疹と風疹混合)を接種します。
2回目は5歳以上7歳未満絵小学校就学前1年間で接種します。
大人になっても接種は可能です。
麻疹の予防接種が必要かどうか、年代別で教えてください。
1977年以前にお生まれの方:
麻疹ワクチンは1966年に任意接種で予防接種が開始しました。
それ以前に生まれた方の多くは予防接種を受けていないことが考えられますが、幼少期に麻疹に感染した方が多く既に免疫をもっている方が多いと考えられます。

1978年〜2005年にお生まれの方:
1978年10月から定期接種として1回接種が開始されました。
2007年の麻疹大流行のため、1990年度〜1999年度生まれの方は2回目の追加接種を行いました。

1977年〜1990年にお生まれの方:
定期接種で1回しか予防接種を受けていない年代です。免疫が十分身についていない可能性がありますので、追加接種を推奨します。

2006年以降にお生まれの方:
定期接種で2回接種が開始しています。
第1期:1歳児
第2期:小学校入学前1年間

*定期接種は強制ではありませんので、必ず受けているとは限りません。必ず母子手帳で確認し、母子手帳などの記録がない場合は、抗体検査をすることで免疫がついているかどうかがわかります。
麻しん(はしか)ワクチンの効果はどのくらいありますか?
1回の麻しんワクチンを接種することによって、95%以上の人が麻しんウイルスに対する免疫を獲得することができ、免疫持続は10〜20年です。
確実に長期免疫をつけるために、2006年6月から麻しん・風しんの混合ワクチン(MRワクチン)の2回接種が開始されました。
東京都に在中です。どこで麻疹(はしか)ワクチンを接種できますか?
東京で麻疹ワクチンの接種をご検討でしたら、品川イーストクリニックにご連絡ください。
現在は、麻疹単体のワクチンではなく、麻疹・風疹混合のMRワクチンが主流となっております。
風疹に対して抗体がある方がMRワクチンを接種しても体に悪影響はございませんのでご安心ください。
詳しくは診察時に医師からお説明させていただきますので、ご不安なことがあればご相談ください。
どうして麻疹(はしか)に感染するのですか?
麻疹ウイルスはとっても強力なウイルスで、空気感染(飛沫核感染)が主な感染経路です。
例えば、麻しん患者さんがが咳やくしゃみをすると、空中にウイルスが漂い、空中のウイルスを含んだ空気を吸った人たちは感染する可能性があります。

トラベルクリニックとして

日本で生活する上では気にすることのない感染症。しかし、上・下水道施設が整備されて、非常に衛生的できれいな日本にはない感染症が世界にはたくさんあります。日本国内にはない感染症ですから、その感染症に対して無防備な状態で現地に飛び込んでしまったら、どうなるでしょう?感染症には軽症ですむものから重症化し入院や時にはあなたの命にまで危険が及ぶ怖い感染症もあります。健康である方も感染症にはかかります。

ワクチン接種を行うことによって、体の中に抗体(免疫)を付けてから現地に赴くことやワクチン開発のない(または開発中の)感染症からどのように身を守るかが大変重要です。

海外生活をより楽しくそして安全に過ごしていただくために、品川イーストクリニックではトラベル外来を実施しております。

海外で行われている予防医学学会へ積極的に出席することで、海外の医師との意見交流を行い、お越し頂く患者様へ的確なアドバイスを行っております。ご自身の身を守ることはもちろん、周囲への二次的感染予防としても、海外へご出発される前にしっかりと知識を見につけ、可能な限りの予防対策を行い、安全で楽しい滞在を願っております。

当クリニックでは、コンシェルジュ(看護師)によるカウンセリングや感染症専門医師による診察を行っております。