更新日 December 18, 2019
目次
おたふくかぜは正式には流行性耳下腺炎(じかせんえん)といいます。
世界中にある病気で、日本でも年間多くの方が感染しています。
おたふく風邪は日本で4〜5年毎に流行を繰り返している病気ですが、先進国でおたふくかぜ(ムンプス)ワクチンが定期接種されていないのは日本だけです。
現在、日本ではおたふく風邪(ムンプス)ワクチンは任意接種ですが、2015年には世界121カ国でMMRワクチン(麻しん・風しん・おたふくかぜ混合)の2回接種が主流となり、おたふくかぜの流行はほとんどありません。おたふくかぜの流行を繰り返しているのはエジプト,とリビアを除くアフリカ諸国と日本を含む東アジア地域の一部の国が多いです。
2015年と2016年に流行が見られましたが、2017年からは落ち着き始め、2018年と2019年は低い流行状況となっています。
日本国内では、毎年子供を中心に数十万〜数百万人がかかり、約5,000人が入院していると報告されています。
日本耳鼻咽喉科学会では2015〜2016年の2年間に少なくとも348人がムンプス難聴となり、300人近くに後遺症が残ったと報告されています。
1歳から接種可能です。
任意(本人の希望)接種ですので、幼児期に予防接種又はおたふく風邪にかかったことがない方は予防接種をお勧めします。 幼児期から学童期に感染することが多いのですが、成人になってからも感染することがあります。
※妊婦はおたふく風邪ワクチンの接種を避ける。
※また、このワクチンの接種後は少なくとも2か月以内には妊娠を避けるように気をつける。
※周囲に感染者が出た場合:3日以内に予防接種を受けると感染を防御、症状を軽くできるとされています。
おたふく(ムンプス)ウイルスの感染(唾液もしくは接触)によって起こります。
飛まつ感染とは、感染している人のせきやくしゃみ、会話などでウイルスを含んだ飛まつが飛び、周囲にいる人が鼻や口から吸い込んで感染することです。
接触感染とは、感染している人とキスをしたり、ムンプスウイルスが付着した手やドアノブ、手すりなどにふれた手で、口や鼻を触ったりすることなどで感染することです。
感染力は比較的強く、死亡することは稀Dすが、 合併症として無菌性髄膜炎の頻度が高い(1〜10%)です。
体内にウイルスが侵入すると感染しますので、体の表面にウイルスがついただけでは感染しません。
おたふくかぜ(ムンプス)にかかるとムンプス難聴という、音を感じる神経が破壊され、片耳(まれに両耳)が聞こ えなくなることがあります。
ムンプス難聴になる確率はおたふくかぜにかかった人の約1,000人に1人と言われています。
ムンプス難聴は生涯治らないので、ワクチンによる予防が重要です。
合併症として無菌性髄膜炎や脳炎や睾丸炎や卵巣炎や膵炎があります。
大人になってかかると、難聴だけでなく「耳鳴り」や「めまい」を伴い日常生活に支障をきたすこともあります。
思春期以降におたふくかぜにかかるとでは男性は睾丸炎、女性は卵巣炎を認めることがあります。
日本でもおたふくかぜワクチンの製造はされておりますが、小児の定期予防接種の対象にはなっておりません。
満1歳を経過したら任意接種でおたふくかぜ(ムンプス)ワクチンの予防接種ができます。
成人になってからも任意で予防接種が受けられます。
輸入ワクチンのMMRも取り扱っております。
当院では、欧米各国で広く承認されているMMRワクチン(麻疹、風疹、おたふくかぜ3種混合)”Priorix”を輸入しております。未承認ワクチンについてはこちらをご覧ください。
ワクチンの種類 | おたふく風邪(流行性耳下腺炎) | 麻疹&おたふく&風疹混合 (MMR) |
商品名 | 乾燥弱毒性おたふくかぜワクチン | Priorix |
生産 | 国産 生ワクチン | 輸入 生ワクチン |
販売元 | 北里研究所 | GlaxoSmithKline社 |
接種回数 | 1回または2回(0、4週間〜) | 1回または2回(0、4週間〜) |
抗体価持続期間 | 20〜30年 | 20〜30年 |
抗体価がつく目安 | 接種後2週間後 |
接種後2-4週間後 |
副反応* | 注射部位の痛み・腫れ、発疹、接種後2-3週間ごろに発熱など | |
重篤な副反応* | アレルギー反応など(アナフィラキシー症状等)頻度;極めて稀 | |
接種禁忌者* | 卵のアレルギー、急性疾患、免疫抑制疾患・治療者、妊婦、アナフィラキシー症状があった者、卵白・ネオマイシンアレルギー | ネオマイシン・卵のアレルギー、妊婦、急性疾患、発熱、薬の成分でアナフィラキシーがあった者 |
*)掲載内容は全てではありません。
接種後2〜3週間たった頃、まれに発熱、耳下腺のはれ、嘔吐、咳、鼻汁などを認めることがありますが 一般に症状が軽く、通常数日中に消失します。
自然のおたふくかぜにかかった場合に比べて頻度は少ないですが、ワクチンによると疑われる無菌性髄膜炎が接種後2〜3週間頃に、まれに発生することがあります。
接種を受けた後、無菌性髄膜炎にかかると発熱、嘔吐、頭痛などの症状が現れます。
その重症度は自然感染とワクチン接種とで変わらず、 一般的に予後はどちらも良好ですが、重篤な副反応として 脳炎・脳症、 感音性難聴、 血小板減少性紫斑病、精巣炎、膵炎等が起こることもありますが頻度は0.1%未満です。
おたふくかぜによる無菌性髄膜炎の頻度は1〜10%と比較的頻度が高いですが、一般的に予後は良好な合併症で、 脳炎の合併を除くとおたふくかぜは生命予後が良好な感染症と言われています。一方で脳炎の合併率は0.02〜0.3%、 致命率は1.4%で、ムンプス難聴も早い時期に出現すると、その後の言語の発達に悪影響を及ぼす可能性があります。おたふくかぜの発症と重篤な合併症を予防することがワクチン接種の目的です。
グラクソ・スミスクラインのMMRワクチン(商品名 Priorix)が世界的に幅広く流通しています。
日本でMMRワクチンを接種するには薬監証明を取ったトラベルクリニックで予防接種が可能です。当院のトラベルクリニックではMMRワクチンを常備在庫しております。東京のトラベルクリニックでMMRワクチンの予防接種をお探しなら、お気軽にお問い合わせください。
麻しん(はしか)は、麻しんウイルスによって起こります。
麻しんを発症している人と同じ部屋にいるだけでうつる(空気感染)ことがあります。
麻しんを発症している人が部屋を出た後、2時間は感染する可能性があり、感染力が非常に強いです。
麻しん(はしか)ウイルスに感染したヒトに直接さわったり(接触感染)、そのヒトのくしゃみや咳(飛沫感染)などからもうつります。
有効な治療薬はありませんが、麻しんワクチンで予防できます。
詳しくは麻疹ワクチンページを参照ください。
風疹は、感染力の強い風しんウイルスによって引き起こされるウイルス性発しん性感染症です。
特に風しんに免疫のない女性が妊娠初期に風疹に罹患すると、胎児への影響が深刻です。
詳しくは風疹ワクチンページを参照ください。
日本で生活する上では気にすることのない感染症。しかし、上・下水道施設が整備されて、非常に衛生的できれいな日本にはない感染症が世界にはたくさんあります。日本国内にはない感染症ですから、その感染症に対して無防備な状態で現地に飛び込んでしまったら、どうなるでしょう?感染症には軽症ですむものから重症化し入院や時にはあなたの命にまで危険が及ぶ怖い感染症もあります。健康である方も感染症にはかかります。
ワクチン接種を行うことによって、体の中に抗体(免疫)を付けてから現地に赴くことやワクチン開発のない(または開発中の)感染症からどのように身を守るかが大変重要です。
海外生活をより楽しくそして安全に過ごしていただくために、品川イーストクリニックではトラベル外来を実施しております。
海外で行われている予防医学学会へ積極的に出席することで、海外の医師との意見交流を行い、お越し頂く患者様へ的確なアドバイスを行っております。ご自身の身を守ることはもちろん、周囲への二次的感染予防としても、海外へご出発される前にしっかりと知識を見につけ、可能な限りの予防対策を行い、安全で楽しい滞在を願っております。
当クリニックでは、コンシェルジュ(看護師)によるカウンセリングや感染症専門医師による診察を行っております。
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