熱帯から温帯にかけて分布しています。
季節、天候などによりマラリアが流行する地域は変わるので出発前に最新の情報を入手することをお勧めします。
マラリア感染地域を旅行する方。特に流行時期に旅行する方は予防薬の服用を確実に守る必要があります。
マラリアはマラリア原虫と呼ばれる寄生虫の感染症です。ハマダラカがマラリア患者を吸血すると、血液中のマラリア原虫が蚊の中で増殖します。この蚊が別の人を吸血する際にマラリア原虫を体内に送り込み感染が成立します。体内に侵入したマラリア原虫は主に血液の中の赤血球に寄生し、赤血球を破壊することで発熱や貧血を起こします。
マラリアには、熱帯熱マラリア、三日熱マラリア、卵形マラリア、四日熱マラリアの4種類があり、原因となる原虫はそれぞれで異なります。熱帯熱マラリアは重症になりやすいので、熱帯熱マラリアかそれ以外のマラリアかを見分けることが非常に大切です。最近では、タイの森林を中心に二日熱マラリアも発生しています。
マラリアは熱発作と呼ばれる発熱が主症状で、悪寒や震えを伴った発熱が1時間から2時間みられ、その後高熱が4時間から5時間続きます。この時に頭痛や吐き気を伴い、重症な場合には意識障害がみられることがあります。その後大量の発汗とともに解熱します。熱発作のパターンは初期には不規則ですが、熱帯熱マラリア以外は次第に規則的な熱型になっていきます。
熱帯熱マラリアの場合は、発熱に伴う症状が強く、不規則に発熱し、解熱時も健康感がない。早期に治療を開始しないと血中の原虫数は急激に増加し、脳性マラリア、ARDS、急性腎不全、代謝性アシドーシス、重症貧血を併発し死亡する大変恐ろしい感染病です。一方、その他のマラリアは比較的ゆっくりした経過をとり、一般的に良性マラリアとも言われます。
マラリアの種類 | 潜伏期間 |
熱帯熱マラリア | 7日〜14日 |
三日熱マラリア | 12日〜17日又はそれ以上 |
卵形マラリア | 11日〜18日又はそれ以上 |
四日熱マラリア | 18日〜40日又はそれ以上 |
マラリア予防薬は数種類あり、どの予防薬を選択するかは旅行先のマラリアの種類、予防薬に対する耐性で異なってきます。種類によって、出発2週間前から服用、旅行を終わってから引き続き4週間服用を必要とするものもあります。また薬の服用も1日1錠、1週間1錠と色々な種類があります。最適の予防薬は最新の医療情報に従って決定いたします。
当クリニックでは、マラロン、メフロキン(メファキン)、ドキシサイクリン(ビブラマイシン)の処方をいたします。
予防薬の種類 | アトバコン・プログアニル塩酸塩錠(Atovaquone/proguanil) |
商品名 | 「マラロンR配合錠」 |
認可 | 国内認可あり |
販売元 | GlaxoSmithKline社 |
服用方法 | 服用開始時期:現地到着の1〜2日前から 滞在中:1錠/1日 マラリアの流行地を離れてから:7日間内服 |
副反応・禁忌* | 胃のもたれ感などの胃腸症状。咳などがあるが軽微。 |
メリット | 副反応が少なく、世界中で広く使用されているマラリア予防を目的に作られた薬。 |
デメリット | 毎日1錠服用するため、錠数が多くなると高価。 |
予防薬の種類 | メフロキン(Mefloquine) |
商品名 | メファキン MephaquinR (1T=275mgメフロキン塩基) |
認可 | 国内認可あり |
販売元 | 久光製薬 |
服用方法 | 服用開始時期:現地到着の1〜2週間前から 滞在中:1錠/1週間 マラリアの流行地を離れてから:4週間内服(計4錠) ※5mg/kg(成人で通常1錠) |
副反応・禁忌* | 不整脈のある人は使用禁忌。 不安、不眠、眩暈、錯乱など精神神経系の副作用が多く、悪心、嘔吐、下痢、頭痛、洞性徐脈、胃痛、皮膚症状、食欲不振等が見られる。 |
注意事項 | メファキン耐性のマラリアが東南アジア(タイ、カンボジア、ベトナムなど)には見られます。 めまいなどの副作用を合併することが多く、出発の2週間前から服用し(メファキンの副作用の確認と血中濃度を高める期間です)、それから現地入りしてください。 |
予防薬の種類 | ドキシサイクリン(Doxycycline) |
商品名 | ビブラマイシン(Vibramycin) |
生産 | 国産 |
販売元 |
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服用方法 | 服用開始時期:現地到着の1〜2日前から 滞在中:1錠/1日 マラリアの流行地を離れてから:4週間内服 |
副反応・禁忌* | 副作用の大部分は悪心・嘔吐、食欲不振等、消化管障害と軽微。食道潰瘍を避けるため多めの水で服用する。長期服用は下痢や口腔にカンジダなどのカビが生えやすくなるといった副反応が見られます。また、光線過敏症を起こすことが多いため服用中は直射日光を避けなくてはならないなどの欠点もあります。 |
注意事項 | カルシウムやマグネシウムと併用すると吸収されなくなるので、サプリメントを避ける |
*)掲載内容は全てではありません。
マラリア対策で一番大切なのは、ハマダラカに刺されないことです。
ハマダラカは黒い色を好み、夕方から夜明けにかけて吸血します。
防蚊のため以下の点に注意して行動してください。
<インセクトシールドの防虫ウェアの特徴>
マラリアやデング熱など、「蚊」にさされることで感染する病気に対しての予防法の一つとして欠かせないのが虫除けスプレーです。日本で一般的に販売されている虫除けスプレーは効き目が弱く、ディート(DEET)という成分が30%以上含まれていると海外の昆虫にも有効なので、購入時は成分の量も確認しましょう。
尚、使用に際しては、アメリカ疾病予防管理センター(CDC)では次のことを推奨しています。
DEETに関するリンク:
厚生労働省 - ディートを含有する医薬品及び医薬部外品に関する安全対策について
日本で生活する上では気にすることのない感染症。しかし、上・下水道施設が整備されて、非常に衛生的できれいな日本にはない感染症が世界にはたくさんあります。日本国内にはない感染症ですから、その感染症に対して無防備な状態で現地に飛び込んでしまったら、どうなるでしょう?感染症には軽症ですむものから重症化し入院や時にはあなたの命にまで危険が及ぶ怖い感染症もあります。健康である方も感染症にはかかります。
ワクチン接種を行うことによって、体の中に抗体(免疫)を付けてから現地に赴くことやワクチン開発のない(または開発中の)感染症からどのように身を守るかが大変重要です。
海外生活をより楽しくそして安全に過ごしていただくために、品川イーストクリニックではトラベル外来を実施しております。
海外で行われている予防医学学会へ積極的に出席することで、海外の医師との意見交流を行い、お越し頂く患者様へ的確なアドバイスを行っております。ご自身の身を守ることはもちろん、周囲への二次的感染予防としても、海外へご出発される前にしっかりと知識を見につけ、可能な限りの予防対策を行い、安全で楽しい滞在を願っております。
当クリニックでは、コンシェルジュ(看護師)によるカウンセリングや感染症専門医師による診察を行っております。
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