日本脳炎ワクチン − 日本脳炎の発生状況や予防接種についてのご案内

日本脳炎ワクチン [Japanese Encephalitis]

更新日 December 18, 2019

日本脳炎の流行地域

日本脳炎ワクチン [Japanese Encephalitis]の発生状況

日本脳炎発生状況

南東アジア地域と西太平洋地域の24か国で日本脳炎が伝播するリスクがあり、30億人以上に感染するリスクがあります。WHOによると世界で毎年、約68000人が発症し、このうち24000人が死亡、約9,000人は回復しても重篤な後遺症を残すと発表されています。

日本脳炎の流行時期

日本では毎年7月〜10月が日本脳炎ウイルスを媒介する蚊が出現する時期です。

海外では、中国や韓国では夏から秋に、インド北部やネパールなどでは6月〜9月頃の雨期に蚊の発生が多くなります。
アジアの温帯地域のほとんどでは、日本脳炎は主に暖かい時期に広がり、しばしば大規模な流行が起こることがあります。
熱帯地域と亜熱帯地域では、一年中蔓延していることがありますので注意が必要です。

日本脳炎の流行エリア

日本脳炎ウイルスは、蚊の一種であるコガタアカイエ蚊やヒトスジシマ蚊によって媒介されます。
コガタアカイエカは夜間に活動に吸血する習性があるため、夜間の蚊対策が重要です。

コガタアカイエカは、水田や灌漑溝、湿地、河川敷、池沼などの大きなたまり水に産卵するため、田園地帯や農村地域に滞在する際には特に夜間に蚊取り線香や防蚊剤を使用した防蚊対策が重要です。

日本での日本脳炎の発生

日本では、日本脳炎ワクチン接種の普及や生活環境の変化により、ブタの感染と患者発生は一致していないことが多く、最近では日本脳炎患者報告数は毎年10例前後です。(日本国内でのブタの日本脳炎ウイルス抗体保有状況は西日本(香川県、高知県、佐賀県、長崎県、福岡県)に集中しています。)

世界的にみると日本は感染リスクが高い国であり、西日本以外に在住している場合でも接種が推奨されます。

2016年には定期接種として実施されていなかった北海道でも定期接種が開始されました。

日本脳炎の感染原因と症状

感染

豚の中で繁殖した日本脳炎ウイルスがコガタアカイエカに媒介され、その蚊に刺されることによって感染します。

症状

  • 潜伏期間はウイルスに感染した蚊に刺されてから約6〜16日
  • 初期症状:高熱、頭痛、嘔気、嘔吐、痙攣
  • 高熱とともに:意識障害、不随意運動、羞明あるいは麻痺症状が出現し異常行動、意識障害、けいれん、神経障害などが現れる
  • 病状が進行すると脳浮腫による脳圧亢進、けいれんや呼吸不全をきたす
  • 脳炎患者の死亡率は30%
  • 日本脳炎ウイルスに感染してもほとんどの人は症状がなく、気がつかない程度ですんでしまいますが、100〜1,000人に1人程度が脳炎を発症します。
    発症すると約20〜40%の人が亡くなり、命をとりとめても、多くの人が神経の後遺症(脳の障害)を残す病気です。

日本脳炎を予防するには

予防接種は3回または2回受けるのが一番の予防法です。感染地域に長く滞在するときは追加免疫(3回目)を半年から1年後、その後は3年毎に接種します。

日本脳炎のワクチン接種をお勧めする方

25歳以上の方は初回接種から始めることをお勧めします(3回接種)。

北海道生まれの方は定期予防接種として接種していない方が多いので、ワクチン接種が推奨されている渡航先の場合は接種をお勧めします。

日本脳炎ワクチンについて

予防接種法による小児への接種は一時中断されましたが、2009年6月に細胞培養ウイルスによる新しいワクチンが出来ました。

JE(日本脳炎)ウイルスは、大部分のアジアと西太平洋の地域を通して起こり、アジアの脳炎で最も一般的なワクチン防止できるウイルスです。

日本脳炎の予防接種の機会を逃した方へ

1995年4月2日〜2007年4月1日の間に生まれた方 :
2005年5月30日〜2009年度は日本脳炎ワクチン積極的勧奨の差し控えた時期にあり、日本脳炎ワクチン接種を受けていない可能性があります。
20歳未満であれば不足回数分を定期接種として受けることができます。

2007年4月2日〜2009年10月1日の間に生まれた方:
生後6か月〜90か月未満、9〜13歳未満の間に、第1期の不足分を定期接種として受けることができます。

※詳しくは、お住まいの市区町村にお問い合わせください。

当クリニック取り扱い日本脳炎ワクチン

ワクチンの種類 日本脳炎ワクチン 日本脳炎ワクチン
  日本脳炎 日本脳炎 JENVAC
商品名 乾燥細胞培養日本脳炎ワクチン 「ジェービックV」 JENVAC
生産 国産 輸入
販売元 武田薬品工業株式会社、田辺三菱製薬株式会社 Bharat Biotech社
基礎接種回数** 3回
(0、1-4週間、12ヶ月)
2回
(0週間、12ヶ月)
基礎接種後の
抗体価持続期間
5年 5年
抗体価がつく目安 2回目接種後 1回目接種後
軽度の副反応* 局所反応、軽度の発熱、筋肉痛、胃腸障害 局所反応、軽度の頭痛と筋肉痛
重篤な副反応* アレルギー反応(アナフィラキシー症状等)頻度;極めて稀 アレルギー反応(アナフィラキシー症状等)頻度;極めて稀
接種禁忌者* 高熱、急性疾患、過去の接種で重篤な副反応があった人 高熱、急性疾患、過去の接種で重篤な副反応があった人、妊娠・授乳中の人

*)掲載内容は全てではありません。
**)3回目の接種時期は、初回日から計算した日数です。

日本脳炎ワクチンのよくある質問

抗体価はどのくらいでつきますか?
予防としての抗体価がつくのは、2回目接種後とお考えください。 海外渡航、旅行目的で接種される方は、最低2回接種してから出発しましょう。
3回目の接種時期には日本にいないのですがどうすればいいですか?
日本脳炎ワクチンの3回目の接種時期は初回日から計算して約1年後です。海外赴任、留学、旅行等で長期的に海外へ行かれる方は、一時帰国時などを利用して3回目の接種をしましょう。短期間のみの方は、次回の海外旅行等に向けて3回目の接種をされると、抗体価が約4-5年間持ちますので、機会があれば接種をお勧めします。
3回目の接種は必要ですか?
複数回接種が必要なワクチンは、2回目、3回目の接種時期を守りましょう。明示されている時期に接種をすることで、抗体価を更に高めることができ、同時に持続期間も長くなります。2回まで接種を完了し、3回目を接種しないと抗体価は3回目の時期を境に減り始めます。
日本脳炎ワクチンは他のワクチンと一緒に接種は可能ですか?
はい、可能です。当クリニックでは日本脳炎ワクチンと他のワクチンと同日に接種可能です(医師が必要と認めた場合には、接種ができます)。
東京で日本脳炎ワクチンの予防接種を検討しています。どこで接種が出来ますか?
日本脳炎は定期接種に含まれていますので、対象年齢の方は、最寄りの小児科で接種をお勧めします。対象年齢ではない方、成人の方、海外在中のため公費を利用できないい方は、品川イーストクリニックで日本脳炎ワクチン接種を行っていますので、お気軽にお電話ください。
日本脳炎のワクチンは何歳から接種できますか?
日本脳炎ワクチンは生後6か月以上で接種が可能です。一般的には3歳から接種することが多いですが、感染リスクが高い地域やアジア諸国へ渡航時は3歳未満でも強く接種を推奨しています。
日本脳炎ってどんな病気?
日本脳炎は日本脳炎ウイルスに感染した蚊(コガタアカイエカ)に刺されて感染します。
人から人へ感染することはありません。
日本脳炎ウイルスは、ブタの体内で増殖し、そのブタを刺した蚊が他のブタを刺すことで、蚊からブタ、ブタから蚊へウイルスが広がります。

トラベルクリニックとして

日本で生活する上では気にすることのない感染症。しかし、上・下水道施設が整備されて、非常に衛生的できれいな日本にはない感染症が世界にはたくさんあります。日本国内にはない感染症ですから、その感染症に対して無防備な状態で現地に飛び込んでしまったら、どうなるでしょう?感染症には軽症ですむものから重症化し入院や時にはあなたの命にまで危険が及ぶ怖い感染症もあります。健康である方も感染症にはかかります。

ワクチン接種を行うことによって、体の中に抗体(免疫)を付けてから現地に赴くことやワクチン開発のない(または開発中の)感染症からどのように身を守るかが大変重要です。

海外生活をより楽しくそして安全に過ごしていただくために、品川イーストクリニックではトラベル外来を実施しております。

海外で行われている予防医学学会へ積極的に出席することで、海外の医師との意見交流を行い、お越し頂く患者様へ的確なアドバイスを行っております。ご自身の身を守ることはもちろん、周囲への二次的感染予防としても、海外へご出発される前にしっかりと知識を見につけ、可能な限りの予防対策を行い、安全で楽しい滞在を願っております。

当クリニックでは、コンシェルジュ(看護師)によるカウンセリングや感染症専門医師による診察を行っております。