感染症経路を理解する
海外旅行時での健康上のトラブルを避けるため、事前に知識を身に付けることで自己回避できることは未然に防ぐよう心がけましょう。
食べ物から移る病気
疾患 | 主な症状 | 予防方法 |
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旅行者下痢症 | 下痢、嘔吐 | 食べ物・お水に注意 |
食中毒 | 下痢 | 食べ物・お水に注意 |
赤痢 | 腹痛、発熱、血便 | 食べ物・お水に注意 |
コレラ | 水様下痢、嘔吐 | 食べ物・お水に注意 コレラワクチン摂取 |
A型肝炎 | 全身倦怠感、黄疸、食欲不振、 発熱、 不快感、拒食症、強い腹痛や下痢 |
食べ物・お水に注意 A型肝炎ワクチン接種 |
腸チフス | ・高熱、頭痛、全身倦怠感、バラ疹(高熱 時に数時間、胸背部や腹部に現れる淡 いピンク色の発疹)、便秘 等 ・脈の解離が特徴的。 | 食べ物・お水に注意 腸チフスワクチン接種 |
ポリオ | 90〜95%の人は無症状。5〜10%の人は風邪の様な症状。 感染者の0.1〜0.5%にマヒが現れる。 |
ポリオワクチン接種 |
飲食物 | 予防方法 |
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水 | ・生水(水道水など)は飲まない(氷にも注意する)。 ・水道水は高級ホテルでも飲まないようにし、ミネラルウォーターを飲む。 ・水道水しかない場合は、5分沸騰させるか塩素消毒をする。 ・水道水から氷が作られることが多いので、氷入りの飲み物は避ける。 ・ミネラルウォーターを買う。(ガスなしとガス入りでは、ガス入りの方が安全) ・レストラン等では、ふたの開いたミネラルウォーターは中身が水道水のことも あるので、ふたの開いていない状態で持ってきてもらい、目の前で開けるか、自分で開けること。 |
魚介類・肉類 | ・充分に加熱されているものを熱いうちに食べる。 ・特に牡蠣などの貝類は生のまま食べない。 |
野菜 | ・生野菜は避け、過熱されているものを熱いうちに食べる。 |
卵製品 | ・生卵や半熟は避け、充分に加熱されているものを熱いうちに食べる。 |
乳製品 | ・衛生状態が悪いものや料理後時間が経っているものは避ける(特にGoat Cheese)。 |
果物 | ・皮をむいたらすぐに食べること。 |
蚊から移る病気
疾患 | 流行地 | 主な症状 | 予防方法 |
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マラリア | 熱帯 亜熱帯 温帯地域 |
悪寒、冷汗を伴う高熱で発病する | ・マラリア予防薬の服用。 ・日中でも長袖、長ズボンを履き、首周りなどもタオルなどで覆っておく ・夜間は蚊の活動が活発になるので、蚊帳などで刺されないよう注意する。 |
日本脳炎 | アジア オセアニア |
通常6-16日の潜伏期間の後、高熱、頭痛、嘔気、嘔吐。次に、意識障害、けいれん、異常行動、筋肉の硬直等。 | ・防虫に注意を払う ・日本脳炎ワクチン接種 |
黄熱 | 熱帯アフリカ 中南米 |
高熱と黄疸で発病し、急激に重症化する | ・黄熱ワクチン接種(各検疫所、検疫衛生協会のみで取り扱い) |
デング熱 | アジア 中南米 アフリカ 南太平洋 カリブ海地域 |
急激な発熱、激しい頭痛、眼の奥の痛み、関節痛や筋肉痛、全身の発疹、出血 等 | ・都心部の昼間に活動する蚊のため、防虫に注意が必要 ・ワクチン及び予防薬なし |
チクングニヤ熱 | アフリカ 南アジア 東南アジア |
発熱、関節痛、全身倦怠、頭痛、筋肉痛、リンパ節腫脹 等 | ・防虫に注意を払う ・ワクチン及び予防薬なし |
- 効果的な虫避け対策を行う。
- 発熱したら適切な診断と治療を受けること。
動物から移る病気
疾患 | 媒体 | 主な症状 | 予防方法 |
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狂犬病 | 犬 猫 キツネ(ヨーロッパ) アライグマ(アメリカ) コウモリ(アメリカ) |
発病すると麻痺を起こし、 ほぼ100%死亡する |
・野生動物には近づかない。 ・飼い犬・猫でもなめられたりされないよう注意する。 ・狂犬病ワクチンの接種 |
- 野生動物に近づかない。接触しない。洞窟や畜舎に入らない。
- 万が一、動物に噛まれたら、医療機関で適切な治療を受ける。
- 牧草地帯では、飲食物に対する注意を厳重に守る。
- 流行によっては、毛皮や乳製品にも注意が必要。
細菌から移る病気
疾患 | 媒体 | 主な症状 | 予防方法 |
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レプトスピラ | 家畜、豚、犬、猫、馬、ネズミ、野生動物の尿に排泄その尿で汚染された水、土壌に含まれる | 風邪症状のみの軽症型から、黄疸・出血・腎不全までを伴う重症型まで様々な臨床症状を示し、重症型については「ワイル病」と診断される。抗生物質による治療を行う(腎不全などを生じた場合は血液透析を行うこともありる)。 | レプトスピラ症の流行地域では不用意に水に入らないこと、特に洪水のあとには絶対に入らないことが予防には重要である。 |
- 裸足で歩かない。
- 淡水で水浴びしない。
- 怪我をしたら適切な治療を受けること。
- なるべく、破傷風の予防接種を受けておく。
ヒトから移る病気
疾患 | 感染経路 | 予防方法 |
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B型肝炎 | 血液、注射器、性行為 | ・感染者の体液や血液に触れない ・B型肝炎ワクチン接種 |
性病 | 性行為 | ・不特定の相手と性行為を行わない |
AIDS | 血液、注射器、性行為 | ・注射器を使い回ししない ・不特定の相手と性行為を行わない |
インフルエンザ | ヒトからヒトへの飛沫感染 | ・インフルエンザワクチン接種 |
結核 | ヒトからヒトへの飛沫感染 | |
髄膜炎菌 | ヒトからヒトへの飛沫感染 | ・髄膜炎菌髄膜炎ワクチン接種 |
- 飛沫感染する病気(流行時)
衛生状況が悪い地域には不必要に近寄らない。
うがい・手洗いをまめにする。
外出する時にはマスクをする。
人ごみを避ける。
あらかじめ予防接種を受けておく。 - 性行為で感染する病気
ゆきずりの性行為は危険(数に従って危険が増大)。
コマーシャル・セックス・ワーカーは特に危険(感染率が高い)。 - 医療機関で感染する病気
信頼できる医療機関を選ぶことが大切(海外の公立病院は貧困層を対象とするため推奨できない)。
輸血などが必要な場合、時間的余裕があれば、帰国して日本で治療を受けるべきか検討する。
環境の変化による病気
疾患 | 対処方法 |
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高山病 | 激しい頭痛や息切れ、動悸などの症状が現れる。症状が出た場合は、酸素投与の治療の他、速やかに低地へ移動する。ゆっくりとした行動をとり、水分補給も充分行う。 |
時差ぼけ | あまりハードスケジュールにせず、到着後はゆっくりと体調を整える。 |
日射病 | 高温や直射日光による脱水症状が現れる。強い日差しには肌を露出せず、水分補給を充分行う。 |
皮膚炎 | 高温多湿の地域では、水虫や皮膚がかぶれやすくなる為、皮膚を清潔に保ち、かせをかいたらこまめに下着を替える。 |
治療にあたっては、正しい診断が前提となります。まずは医師に相談してください。