海外赴任前教育
海外赴任者及び帯同家族を対象とした赴任前教育については、企業独自でセミナーを開催する場合や外部のセミナーに参加する方法があります。当クリニックでも企業独自のセミナー依頼を多く頂いておりますので、ご希望の企業ご担当者様はご相談ください。
1.赴任国の情報の入手
赴任国の気候・風土・衛生環境・医療情報を事前に入手することから始めましょう。途上国の場合は、流行している病気、必要な予防接種、受診できそうな医療機関についても情報確認をしておきます。赴任国から頻繁に近隣国への出張を繰り返す可能性がある場合は、その国の感染病や必要な予防接種も考慮しておくことが大切です。
(例:シンガポールに滞在し、フィリピンやマレーシア、タイ、カンボジアなどの発展途上国へ頻繁に出張を繰り返すなど)
2.健康診断の受診
海外に6ヶ月以上滞在して勤務される方は、健康診断の受診が法律で義務付けられています。再検査や精密検査の指示が出ても日本で検査ができるように、早めに健診を受けましょう。帯同家族やお子様も一緒に赴任される場合も健康診断を受けるようにしてください。お子様の場合は、かかりつけの小児科医に年齢に応じた健康診断を受け、滞在中の注意について相談しておくとよいです。
3.英文による医療情報文書
持病やアレルギーがある場合は、下記の内容の英文診断書を準備しておきましょう。
- 疾病名
- 投薬内容:投薬中の「商品名」「一般名」「療法・用法」
- 既往歴・アレルギー有無:アレルギーについては薬と食物を分けて記載するとよい
- その他の治療:食事療法や運動療法を行っている場合は具体的に記入
- 主治医の名前とサイン
4.予防接種
黄熱病ワクチンの接種が義務付けられている国へ赴任される場合は、検疫所で予防接種を受けます。
- 黄熱病予防接種要求国については、当サイトの国別情報ページでも確認いただけますが、最新情報は各検疫所でご確認ください。
赴任先の衛生状態・最新の感染症の流行情報に合わせて予防接種を受けてください。途上国の場合は、A型肝炎・B型肝炎・破傷風・日本脳炎・狂犬病のほかに腸チフスワクチンや髄膜炎ワクチン・コレラワクチンなどが必要な国もあります。当クリニックには輸入ワクチンを含めたワクチンを常備多数ご用意しております。
5.常備薬や市販薬の準備
海外の市販薬は日本の市販薬に比べて一般的に強いことが知られています。また、途上国ではニセ薬が横行していたり、品質管理が悪かったりすることもありますので、飲みなれた薬を日本から持っていくことをお勧めします。
当クリニックでも常備薬の処方や市販薬の入ったトラベルセットをご用意しております。特に東南アジアへ行かれる方へは、短期出張であっても持参をお勧めします。
6.医療機関の受診方法の確認
国によって医療制度が違うため、医療機関を受診する方法も異なってきます。多くの国ではホームドクター制を導入しています。引越しが終わったら、救急車の呼び方とホームドクターの連絡先を自宅の電話機の近くにメモをしておくとよいです。また、緊急時、特に脳梗塞など一刻を争う場合は第一に救急車を呼ぶことを覚えておきましょう。
7.歯の治療
海外での歯科治療費は、日本に比べると高額で海外旅行保険ではほとんどカバーされません。治療方法も日本と異なるため、歯科治療は日本で受けるようにしましょう。特に途上国では衛生管理の問題も考慮する必要があります。
8.緊急時の対応
赴任中の思わぬけがや病気になった際の緊急連絡先と会社の基本対応も確認しておきましょう。
海外赴任中の注意
1.気候に適した生活と感染症予防対策
赴任先の気候に合った生活を心がけましょう。例えば、赴任地が中東の場合は砂漠からの砂による気管支炎が多いため、外出時はマスクをつけたり、熱帯地方では日中の運動や外出は避け、水分補給をよくとり、毎日シャワーを浴びて皮膚を清潔に保つようにします。もちろん、帰宅したら手洗いとうがいをすることは日本においても共通です。
普段の生活の中でも感染症への予防対策を心がけましょう。飲み水・生もの・乳製品を摂取する際への注意や、蚊に刺されない対策などが大切です。赴任中でも、その国で今感染症が流行していないかといった情報にも敏感になり、最新情報の入手方法を知っておきましょう。インフルエンザやSARSのときのように、突然の飛沫感染病の流行時などの対策も必要です。
2.生活習慣病の予防
海外では、運動不足や食生活の変化、外食が多くなるなどの要因により生活習慣病が悪化しやすくなります。海外の食事は高カロリー、高脂質が多いことから食事の量を控えめにし、野菜を多くとるようにしてください。また、適度な運動を定期的に行う習慣を付けましょう。特に、(朝)食後2時間以内に15〜20分のストレッチ運動は効果的です。自宅でも定期的な血圧・体重測定を行いましょう。
3.健康診断
赴任中も年に1度は健康診断を受診しましょう。日本に一時帰国した際に受診するか、現地又は近隣の先進国で受診しましょう。
4.医療保険の確認とホームドクター選定
赴任地で病気や怪我をしたときに使用できる医療保険の確認と、その保険が利用できる医療機関も確認しておきましょう。赴任後できるだけ早くホームドクターを決め、緊急で受診できる病院、救急車の制度や料金も確認しておきましょう。
5.メンタルヘルス
近年増加傾向にあるメンタルヘルスですが、ストレス発散するために積極的な運動やリラックスできる方法を実践しましょう。また、辛い事や悩み事があるときは、早めに自分をよく知っている人に相談しましょう。帯同家族を含んだ配慮が必要です。